木造住宅のリフォーム前に知っておきたい!!抜ける柱と抜けない柱って?

実務

どうも。建築士まるたろうです。

私の妻はリフォーム業界でリノベーションの設計をしているのですがよくこんなぼやきを聞きます。

妻ちょこぴ
妻ちょこぴ

木造は柱抜けへんとこもあるっていってんのに全然理解してくれない…

そうなんです…!
実は木造住宅のリフォームの際抜ける柱と抜けない柱が存在するのです。
これを知らずに話を進めると、いざリフォーム!って時に「これは抜けませんよ?」と言われてしまう恐れも…!描いていた通りの間取りにならないなんて…!と絶望してしまうかも。

そうならないためにも!
今回は建築士である私まるたろうが木造住宅の柱について記事を書いていこうと思います。

ぜひ最後まで読んで自分の夢の為に勉強しましょう!
実はこの件には「はずれ設計士」が潜んでいる可能性も…??

結論:「基本的に」中の柱は全て抜けます!!

見出しのとおり基本的には理論上部屋の中は全て柱を抜くことは可能です。
頑張れば外部もいけるかも?

お客さん
お客さん

え?さっきと言ってること違うやん。
よかった~!部屋つぶして広ーいリビングにしたいから柱邪魔やと思ってた~!
建築士がそういうなら安心!

まるたろう
まるたろう

ちょっと待って!「基本的に」です!!
もう少し話を聞いてからにしましょう。

柱は基本的にすべて抜ける…ただし!!ここに注意して!!

正直言ってしまえば建築は法律さえ守ればどうとでもできます。
ですが設計士の中には「柱は抜けません。」とか「ここなら問題ない。」とか言ってきます。

実はある心の声が邪魔しているのです。それは大きく次の2つです。

心の声その1:設計士だって柱抜くのはこわい!!

ひとつめはこわいんです。


柱を抜くには構造的に安全なのかとても考えなければなりません。
それも既存で建っている…だれが設計したかもわからない…本当に図面通りなのかもわからない…
そんな建物の構造上非常に重要な柱を抜く責任をもたなければならない…

怖いんです!!

お客さん
お客さん

設計士でもわからんの…?

まるたろう
まるたろう

そのお言葉はごもっとも…!
その回答のためにはざっくりと柱の役割を知る必要があります。

柱の役割って?

そもそも皆さん柱の役割ってどう考えているでしょうか。
なんとなく大事な部分!とかそれくらいの人も多いと思います。

具体的にいうと「力を安全に伝える」というのが主な役割の一つになります。
力を伝える?いまいち…という方のためにイラストを用意してみました。

屋根の重さ(≒荷重)などをなんやかんやあって梁が受けます。
その荷重が梁から柱や耐力壁に分散し土台を伝って基礎に流れていく。

とても簡単に言うとこんなイメージです。
もしかするとこの柱のイラストだけで柱抜いたらあかんやん!って思われる方もいるかもしれません。

それではこれならどうでしょう!

Aの柱抜けます!!
…っていわれたらどう思います?怖いですよね。

じゃあBはどうでしょうか。なんか真ん中くらいなら抜いてもいいんじゃない?って思いませんか?

それではこうしましょう!

わかるかい!って思いますよね。でも事実天井で隠れています。
これが設計士の目線です。怖いんです!多分抜けます。なんです!
そら多分といってもプロですから90%自信あります…

ですが、いざ天井はがしてみると…もともと図面通り建てられていない!!
やっぱり抜けませんでした。ってことになるわけです。

他にも耐力壁の両側にある柱や、そもそも耐力壁は壁さえも抜けないなんてこともあります…

お客さん
お客さん

じゃあ結局抜けない柱もあるんじゃん

まるたろう
まるたろう

違うんですよ。抜けるんですよ…
ただ…

心の声その2:柱抜きたいならお金いるよ!!

そうなんです。お金なんです。不可能を可能にするのはお金なんです…

先ほどの梁貧弱Aと梁ゴリゴリBの比較の画像に戻ります。
実はA→Bに梁を変えることができるのです。

お客さん
お客さん

なんや。そんなことならはよやってよ。お金は払うよ!

まるたろう
まるたろう

わかりました。
(簡単に言わんといてよ…)

確かに、Bの梁にできればいいですよね。補強という手段があります。
しかしここでまた怖くなるのです。
どれくらい補強すればいいの…ここだけ補強して力のバランス崩れないかな…想定していない梁の重さに柱が折れちゃうかも…?心の中はざわつきます。
なのでさらにコストをかけ、耐震診断が必要です。構造計算も必要です。となってきます。

それでは皆さん今住んでいる家の柱と梁のサイズ計測してください。

…現実的ではないですよね。そうです。壁天井床はがさないと正しい計算などできません。
もちろんやってもいいですがその分のコストもかかりますよ。という話です。
なので(コストも手間もすごくかかるし)柱抜けないですよ。ということを言いたいんですね。

柱抜く注意点のまとめ

ここまで設計側の心の声を聴いていただきどうだったでしょうか。
もちろん木造の中にも様々な工法や構造があります。
そのためこれがすべてではありません。

まとめると
・柱は全て抜くことは可能(ただし注意点が!)
・構造的に不安な状態になるかもしれない。(設計士も中身みないと100%はわからない…)
・不安を取り除くための手間やコストが現実的ではない(そこまでして柱抜きたいかどうか。)
ということになります。
大事なのは担当の設計士の情報を引き出すことです。
設計士に柱抜けないです。と否定されても「なんで!!」と怒らず一旦冷静に意見を聞いてみると以外な心の声や情報が隠されているかもしれません。

注意喚起:安易な判断は気を付けて!!

お客さん
お客さん

ちょっと待って!!
それはわかったけど、合い見積もりしたら「抜けますよ~」って簡単に言う業者もいたよ?こっちの要望通りだし…この業者がいいんだけど?

妻ちょこぴ
妻ちょこぴ

よく言われますが…その業者大丈夫…?

妻ちょこぴがよく競合する業者の中には安易に柱や耐力壁を抜いたプランを提出してくる業者もいるそうです。

この場合、「そもそも構造的に柱の重要性が低い場合(ラーメン構造など)」や「相当ベテランで確実に大丈夫と言い切れるパターン」マイナスな方では「無理だったらあとで無理でしたって言おうというパターン」が考えられます。
最悪の場合「安全かは知らんけど。案件取れるし。お客さんの喜ぶプランかこ。」という考えの可能性も否定できません!

プランを提出された際、他社では柱抜けないといわれましたが?というのは確実に伝え、なぜ抜けるのかしっかり根拠や意見を求めた方が賢明です。

「弊社としてお客様の為にここの柱は抜けません」と正直にリスクが大きいと判断してくれる設計士の方の話はよく聞いて損はないと思います。

一見プランが思い通りになる方がうれしいです。
ですが、住宅は命を守る重要なもの。
時に急ぎすぎた判断が取り返しのつかないものになることも十分あり得ます。

最後に

現在検討されている方、将来的にリフォームやリノベーションをする方に少しでも参考になっていれば幸いです。

もし自分では判断がつかない!
一旦他の設計士の方にフラットに見てほしいという方や他にもこんなこと言われましたが相談してみたいという方がいらっしゃればコメントください!
私程度で良ければみます!聞きます!いつでもご相談ください。

下のココナラで間取り相談の出品もしています!
まだ作り立てですが誰かのお役に立てれば幸いです。
皆様がよき住宅に恵まれますよう祈っています!

それではまるたろうでした~

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